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18 副作用報告


承認に際し「本品の副作用報告を3年間行うこと」という付帯事項がついたことは述べた。

三共が症例を集め呉羽が解析し報告することになった。

三共から上がってくる副作用情報を確認するためにたまに三共プロパーと三共医薬情報室安全対策室?の担当者と医療機関のドクターに面会し、クレスチンによるかどうかを確認しなければならなかった。三共のIが良く同行したがお手並み拝見とばかり、Drには「製造会社の担当者です。どうぞよろしく」と突き放された。やむなく使用状況や他剤の有無、繰り返し使用した場合にも発現するか等を聞き、クレスチンによる副作用発現の可能性があった場合はそれをカウントするという作業を実施した。Hと私が担当した。

その結果については昭和55年5月1日までに(薬価収載・発売から)集積した10724例を解析し、承認時までの発現率0.69%が1.03%となり、「使用上の注意」に<副作用>として

(1)消化器:ときに悪心・嘔吐、食欲不振、下痢、また、まれに胃部不快感等の症状があらわれることがある。

(2)皮膚:ときに発疹等の症状があらわれることがある。

を付け加えた。(薬務公報社:医薬品副作用情報No39~50のp220~より)

 

この時に開発者のYは、クレスチンは副作用が無いことが売りなのに<副作用>欄を設けるとは何事だ。なぜ潰せなかったのかと激怒し、売りが減少したらこの責任は取ってもらうとまで言われたが幸い売りは減少もせず、馬鹿売れをしばらく続けた。

膨大な収集資料から解析した結果まで無いことにせよという考えはその後の医薬品開発へも悪影響をもたらし、結果的には残念ながらクレスチン以外は失敗に帰した。その後も副作用は例は少ないが現れ、添付文書へ反映されたが、Yからはクレームは来なかった。



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